2025.11.28 | 役員ブログ イベントの未来とQ-PASSが見据えるもの

皆様、こんにちは。マーケティングを担当している塚野です。
今回は私が責任者を務めているイベント管理ソリューション「Q-PASS」について、少し未来の話をしようと思います。

現在、生成AIを中心としたデジタル技術は社会の仕組みそのものを大きく変えようとしており、それはQ-PASSのサービス領域であるイベントや展示会も例外ではありません。このような大転換期だからこそ、今後のQ-PASSが何を目指し、どう進化していくのかをお伝えすることは、当社の姿勢や方針を示す上で重要だと考えています。ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

イベント管理システムQ-PASS・サービスサイト 

Q-PASS誕生の瞬間

Q-PASSの原点は、20年以上前にさかのぼります。日本で開催された、とある国際映画祭の来場者管理システムを受託したことが始まりでした。

当時、イベントではExcelで作成した出席者リストを紙に印刷し、手作業でチェックするのが当たり前の時代。その作業をシステム化することでの業務の改善効果は、とても大きいものでした。

その映画祭での成功を皮切りに、しばらくはイベントごとに個別のシステムを開発するスタイルでサービス提供を行っていました。しかし、さらなる成長の起爆剤とするために自社サービスの開発に取り組み、それまで培ってきた自社のノウハウをフル活用して、現在のSaaS型Q-PASSが誕生しました。

Q-PASSの現在地

現在、Q-PASSは累計500社以上、1500件を超えるイベントで利用されるまでに成長しました。参加者が数万人規模の国際展示会から100人程度の小規模セミナーまで、幅広い場面でご活用いただけています。その背景には、当社がもともと強みにしてきた「現場オペレーション力」があります。

デジタル面だけではなく現場運営にも強いという点は、多くのクライアント様から高く評価されており、この”現場に強い”という思想はQ-PASSにも反映されています。イベント会場で実際に役立つ多彩な機能は、競合サービスにはない強みになっています。

さらに今年リリースした出展者管理機能によって、従来の来場者管理だけではなく、イベント全体をカバーできる総合的なイベント管理プラットフォームへと進化しました。

イベントの今

さて、ここで一度Q-PASSから視点を広げて、現在のイベントや展示会の潮流についても触れておきましょう。私が考える大きなポイントは以下の2点です。

  • デジタルの進展
  • リアルへの回帰

まず「デジタルの進展」については、コロナ禍を経てオンラインイベントが広く普及したことに加え、IoT技術による来場者行動の可視化やAIによるレコメンドなど、さまざまなテクノロジーの活用が進んでいます。これにより、イベントが”ブラックボックス”から”分析できる場”へと変化してきました。

一方で「リアルへの回帰」も進んでおり、BtoB/BtoCを問わず対面型イベントの市場は順調に拡大しています。そのような環境下では、「その場に参加することの体験価値」への期待値が上がっていることをひしひしと感じます。

ここで重要なのは、デジタル化の進展とリアルへの回帰がパラレルで進んでいるのではなく、両者が融合して新しい体験を生み出しつつあるという点です。デジタルテクノロジーの進化は「便利に、快適に」を実現しますが、そこにリアルならではの五感を通じた「伝わる、繋がる、心が動く!」という価値が加わることで、イベントの可能性は大きく広がりつつあるのです。

イベントは”点”から”線”へ、そして”面”へ

これまでイベントは「当日の成功」という”点”にフォーカスされがちでした。しかしこれからは、イベント前の準備プロセスから当日、さらには終了後までを含めて、デジタルテクノロジーを活用した「体験の連続性=”線”のUX(ユーザー体験)」が求められるようになると思います。

例えばBtoBのイベントでは、”線”として展示会を運営することで、来場者に本当に必要な情報を提供し、会場で最適な行動を促すことができます。そしてその来場者データを活用することで、出展者の商談率は向上し、ひいてはそのイベントは「成果の出る展示会」となり、主催者の収益率も向上します。

またBoCのイベント、例えばミュージシャンのライブでも、事前の「ワクワク感」からライブ後の「じんわりとした」余韻までを含めた連続的な体験設計により、ファンのエンゲージメントは確実に増強されます。

イベントが”点”から”線”へと進化することで、来場者のUXは飛躍的に向上し、結果として主催者・来場者双方に大きなメリットをもたらすのです。

さらに私は、その先に”面”の世界、つまり来場者同士が繋がり、コミュニティが形成されるようになると考えています。

イベントは一般的に共通の属性や目的を持つ人たちが集まるため、コミュニティやネットワークの形成のハードルは高くありません。それはBtoCのファンイベントだけではなく、BtoBにおいても実現し得るものです。デジタルテクノロジーを活用した新たな形のコミュニティや人的ネットワークは、イベントの価値を飛躍的に高める要素となります。

これまで一方的に情報やサービスを受け取るだけだった来場者が、コミュニティを通じて“面”として主体的に行動できるようになることで、真の意味で”参加者”となります。つまり、その場にいるすべての人が”参加者”になり得るのです。

Q-PASSが目指す進化

これまでに述べてきた世界を実現すべく、今後Q-PASSは次の3つの方向性で積極的に進化していきます。

● 運用効率を向上させる機能のさらなる強化
● イベント体験を創出する新機能の拡張
● 意思決定につながるデータ基盤の進化

① 運用効率を向上させる機能

Q-PASSはこれまでも「簡単・便利」を掲げてサービス提供をしてきました。これはITソリューションの大前提として、今後も変えることはありません。さらにAIを活用した運用支援機能などを取り入れ、徹底して個々のニーズに応じた改善を積み重ねることで、主催者のUXを向上させてまいります。

② イベント体験を創出する機能

イベント当日や終了後においても、例えばスマートフォンアプリを活用することで、来場者・主催者・出展者がより密接に、そして継続的に繋がれる仕組みを構築します。これにより、3者がイベントを通じて新たな付加価値を享受できるソリューションを開発し、提供してまいります。

③ 意思決定につながるデータ基盤の進化

デジタル上での来場者の行動ログに加え、イベント当日の会場での行動ログも取得するなどのデータ収集方法を多様化・詳細化する基盤を整備します。これにより、イベント後の主催者の意思決定を支援するソリューションを提供してまいります。

最後に

時代はまさにVUCA真っ只中。これまで述べてきたことは、あくまでも現時点で見えている未来像にすぎず、1年後にはQ-PASSは全く違う進化を遂げているかもしれません。しかし、「Q-PASSがイベントの新しいスタンダードをつくる」という視座は変わりません。

これまでと同じように、これからもクライアントの皆様をはじめ市場と真摯に向き合い、世の中の風向きをしっかりと感じながら、真に価値のあるサービスを提供していきたいと考えています。

今後もこのブログでは、マーケティングについてのよもやま話をしていきたいと思いますので、よろしくお付き合いください。

取締役専務執行役員 塚野 征彦