「変わり続けるを、続けよう。」と掲げたグループ新体制から1年、私たちは本当に変われているのか──そんな問いが、今あらためて組織の根幹に突き刺さっています。これまでの歩みの中で、変化を恐れず挑戦してきた場面もあれば、現状に甘んじてしまった瞬間もありました。
営業組織の再構築
当社は長年にわたり、安定した請負型のビジネスモデルで多くの信頼を築いてきました。既存のクライアントとの関係は深く、長く続いています。しかしその一方で、新規クライアントの獲得には、まだまだ工夫の余地があるのが現状です。企業としての成長には、新しい顧客との出会いと、その関係を継続的に育てていく力が不可欠です。けれど、そこに向かうエネルギーが、まだ十分とは言えません。
2024年度は、営業本部に「ソリューション営業」のチームを立ち上げ、新たな挑戦を始めました。業界知識を深め、提案力を磨き、ゼロから企画を立てるといった理想に向かって動き出したものの、成果はまだ限定的で、目標設定や戦略の深堀が引き続き必要です。
マトリックス型組織の強化
そこで今年度、私たちは組織のあり方自体に大きな変化を加えています。現場の社員が「会社がどこに向かっているのか」を理解し、自分たちが何を学び、どう成長すべきかを考えられる環境づくりが大切です。OJTやキャリア支援の仕組みが整っていなければ、上層部の意図も現場に届かず、ちぐはぐな動きになってしまいます。
そのため、「ディビジョン」と「ユニット」という新しい組織の形を導入しました。縦と横のつながりを活かしながら、課題解決に向けて柔軟に動ける体制です。

この組織では、役職者が本気で汗をかき、一般社員がOJTの中でアイデアを出し、実務を通じて成長していくといった循環を生み出すことを目指しています。評価制度も従来の枠にとらわれず、柔軟に対応できる仕組みを整えつつあります。
しかし、現代の働き方は複雑です。仕事へのモチベーションも多様化しています。「現状維持でいい」「自分の時間が大切」という価値観が広がる中で、企業としてどう向き合うかは、常に問われています。
パッケージ戦略と新たな市場への挑戦
今年度注力する事業のひとつが、私たちの持つパッケージ商品「Q-PASS」「Q-LEARNING」「KOMPO」「EC-BOX」といった資産を、より多様な業界に向けたプラットフォームとして育て、活用することです。

機能追加や改善は進んでいますが、それを戦略的に育てていく意識が、まだ組織全体に浸透していません。「売れるものがあるから売ればいい」ではなく、「どう価値を高め、どんな業種に展開できるか」を考えること。そして既存のパッケージを土台としながら、クライアントの課題解決に向けた活用方法や付加価値を示し、より魅力的な提案をしていくこと。そのためには、スタッフ一人ひとりの成長とノウハウの蓄積が欠かせません。
これまでのスポーツマーケットでの実績も活かしながら、今年度は芸能・エンタメ業界への展開をさらに進めることで、業種別展開の成功事例を積み重ねていくことが目標です。
今、エンタメの世界では「推し活」を軸にした新しいムーブメントが次々と生まれています。卵のような存在から育てていく企画が増え、ファンの熱量がビジネスを動かす原動力になっています。

SNSの普及やファン同士のネットワークの中で、単なるファン活動を超えて、巨大な経済圏を形成しつつあります。そしてそこには、企業がまだ十分に入り込めていない余白があるのです。この熱量の高い市場に、私たちがどのように関わっていけるか。例えば、ファンクラブ代替システムやECプラットフォームのパッケージ化の利用を進めることで、推し活を支えるインフラとしての役割を果たすことができます。
個人間の売買が活発になる中で、セキュリティや信頼性を担保する仕組みを提供することも、企業としての価値のひとつです。ファンの熱量を尊重しながら、より健全で持続可能な市場をつくる──そんな視点が、今後ますます重要になってくるはずです。
私たちは、こうした変化をただ眺めるのではなく、そこに寄り添い、支える存在でありたい。新しい文化の立ち上がりを、技術と仕組みで支えること。それが、私たちの次なる挑戦です。業界全体を盛り上げる存在になれるよう、パッケージ化とプロモーションの両面で挑戦を続けています。
変化の先にある未来へ
2024年度は、私たちが本気で「変わる」ことに挑んだ年です。そして今年度も、請負型からの脱却、新規顧客との出会い、組織の再構築、パッケージ戦略の強化と、どれも未来の私たちを形づくる大切な一歩です。
もちろん、すべてが順調に進んでいるわけではありません。苦しい局面もあります。でも、道筋は見えてきました。そしてその道を、社員一人ひとりが自分のものとして歩めるよう、私たちはこれからもコミュニケーションと仕組みづくりを続けていきます。
「変わり続ける」ことは、口で言うほど簡単ではありません。でも、私たちはその難しさに真正面から向き合い、少しずつでも前に進もうとしています。
このブログを読んでくださった皆さんにも、私たちの挑戦の一端が伝われば嬉しいです。そして、これからの私たちの歩みに、ぜひご期待ください。
追伸
プライベートでは、9月に予定されているゴルフコンペに備えて、クラブを握る日々が続いています。普段なかなか会えない皆さんと再会できる、貴重な場です。皆さんとの交流が、思わぬ刺激や気づきをもたらしてくれることも。お会いできることを楽しみにしています。
代表取締役社長 金田 浩邦