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私たちが取り組んでいること

【消費者を理解するとは】第2回:消費者にとって一生モノのサービスとは?

2020.05.27 コプロの視点

こんにちは。コプロシステムの吉田です。
 
私たちが大切にしている「消費者理解」について、第1回の「ブランドイメージとはなにか」に引き続き、今回は「消費者にとっての、一生モノのサービスとは?」についてお話したいと思います。
※タイトルではサービスとは、となっていますが、商品(プロダクト)に関しても含んでいます。
 
 

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一日の生活行動の多くが習慣

 

私たちは、日々の生活の中でたくさんのサービスや商品を購入し、利用しています。私たちが利用しているものには、食品をはじめ日用品や雑貨、衣類や家電製品、住宅や車など、非常に多岐にわたっています。
 
と、ここで少し、あなたの一日を振り返ってみてください。
朝、あなたが目を覚まして最初に手に取るものは何でしょう? 目覚まし時計でしょうか? それともスマホ? メガネを手に取る人もいると思います。起床から、あなたが家を出るまでの間に、手に取るものや使っているものを思い返してみてください。その中で、ほぼ毎日使っているものは、どれだけありますか? 朝食や身支度などの行動も含めて考えてみてください。
 
ほとんどの行動が習慣化していて、その中で利用しているものも決まった商品がほとんどだということに気づくと思います。
 
ある研究によれば、人間の行動の約4割がこうした習慣による行動であるとのことです*。習慣とは、日常的に繰り返される行動を記憶して、ほとんど意識せずに実行できるようになる行動のことで、毎日の生活も規則性・法則性が強いものほど、習慣の影響力は大きく、外部からの変化を受けにくいといわれます。
 
私はよく自分で家や車のカギをかけたかどうか、ふと忘れることがあります。しかし多くの場合、カギはかかっています。毎日のように繰り返す、カギをかけるという行動を意識せずに行っているのです(それはそれで危ないですが)。みなさんもそんなこと、あったりしませんか?
* David T. Neal, Wendy Wood, and Jeffrey M. Quinn (2006) Habits—A Repeat Performance:
Duke University
 
 
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習慣の中に隠れている一生モノ

 

こうしたいわば「自動運転」のような状態で、さまざまな商品がほぼ意識せず使われているという状況が生まれています。習慣行動のもとで使用されている商品については、2つのことが言えます。1つは、その商品は生活の中に溶け込んでいる(定着している)ということ。もう1つは、溶け込んでいる一方で、あまりその商品のことは意識されていないということです。どちらにしても、長く、あるいは継続的に利用されているという事実は変わりありません。一日の行動をじっくり振り返ってみれば、あなたの人生の中で意外と長く使っている「一生モノ」に気付くかもしれません。
 
あなた自身が一生モノと思っているものはありますか? 一生モノと呼ばれるようなものは、常に肌身離さず持ち歩く、使っているという「常用型」と、いつもはしまっておいて大切な時に使うという「お宝型」に大別されます。このうち常用型の一生モノと、先ほどの習慣行動の中で利用されているモノの間には、
 
・普段から使用するシーンが決まっている
・利用頻度が高い
 
といった共通点があります。
(※お宝型は、利用という観点では共通点が少ないため、今回は取り上げません)
 
一般的に一生モノと呼ばれるものは、いわゆる家電や自動車、時計などの耐久消費財を想像する人が多いと思います。耐久消費財の場合は、一生モノ=一点モノ(替えが利かないもの)という考え方が強いため、より一生モノというイメージが付きやすいですが、あなたの生活の中で継続的に活躍する日用品や雑貨などを中心とした消費財も、長い間継続的に使用・消費していれば、それもあなたにとっては一生モノと捉えることが出来ると思います。そう考えると、あなた自身が意識している一生モノだけでなく、あなたが意識していない生活行動や習慣の中で思いがけず長く利用しているモノもまた、あなたの生活を支えている重要な一生モノと言えます。
 
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サブスクリプションモデルの浸透でライフスタイルは変化していく

 

近年、緩やかではありますが、消費の傾向が若い世代を中心に変わってきています。また、様々な領域の多くの商品が低価格、高品質化していて、機能的な差別化要素が少なくなっています(コモディティ化)。モノの所有やブランドの嗜好による特徴で商品を購入しなくなると、ライフスタイルの実態は、何をもって把握することができるのでしょうか。基本属性(デモグラフィック)や、年収などの情報は当然必要ですが、ライフスタイルを把握するときに、どういった部分を把握する必要があるのでしょうか。
 
例えば、サブスクリプションモデルというビジネスモデルがあります。定額制と呼ばれるシステムで、月額や年額で固定料金を支払う代わりに、料金内で様々なサービスが受けられます。音楽配信サービスや動画サービスなどで日本でも定着してきています。
このサブスクリプションモデル、近年はアパレルや家電製品など、商品にも広がりを見せています。
 
定額制自体は昔からあるものですが、消費者がこれらを利用するポイントは、単なる商品の提供だけではなく、継続的な体験の提供にあるところ。たとえば、dysonのテクノロジープラスは、dysonの商品が定額でレンタルされ、2年おきに新しい商品にアップデートできます。つまり、単なるレンタルではなく新しい商品への入れ替えも含めたサービスなのです。数年に1回購入するのではなく毎月定額のサービスを利用すれば出費の波も抑えられるため、十分購入の代わりの選択肢になります。このように、体験型のサブスクリプションサービスを利用する人が増えてきているのです。
 
こうした動きが広がると、モノの所有という考え方自体も変わってきます。具体的には、モノの所有からサービスの利用へと変わりつつあります。この変化によって、これまでよりも家計と関心事への消費バランスの波が読み取りにくくなるため、消費者のライフスタイルの実態把握が難しくなっていきます。そのため、消費者の姿をより具体的に把握していく上でもこうした新たなサービスの導入状況や意図をいかに汲み取っていくかを考える必要があります。
 
弊社では消費者理解のためのペルソナ分析を行う際、このような新たなライフスタイルを把握するために、どのような設計が必要なのか、世の中の状況を見極めながら必要な調査設計やアウトプットを創造しています。
 
お金の使い方だけでなく、興味関心や時間の使い方、行動そのものも含めて消費者の生活を読み解くことができなければ、消費者像をこれまでと同様に見極めることは難しくなってくると考えられます。理想の消費者像(ペルソナ)を導き出すためには、こうした時代の変化を察知し、より多角的な情報を元に把握をしていく必要がある、と私たちは考えています。

 

第3回に続く!➡【消費者を理解するとは】第3回:ユーザー動向の変化は、時間の奪い合いによって起きている。

 

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