2012年1月アーカイブ

昨日の「エクスペリエンスジャーニーマップ/カスタマージャーニーマップ」と「サービスブループリントを用いたWebユーザビリティ評価」と2回続けて、サービスデザインの分野で用いられるサービス提供の流れをモデル化するツールを紹介してきました。

数年前からヨーロッパやアメリカではサービスデザインが1つのビジネストレンドにもなっており、様々なデザインファームがサービスデザインのコンサルティングを行なっています。2011年の10月にサンフランシスコで開催されたService Design Global Conferenceでは、マクドナルドやセールフォース、フェイスブックなどの企業がスポンサーを努めていたりと「サービスデザイン」への注目は非常に高くなっています。

そのサービスデザインのデザインプロセスでは、デザイン思考をベースとした人間中心のデザインプロセスを各社がカスタマイズしながら採用していて、エクスペリエンスジャーニーマップやサービスブループリントもそのデザインプロセスのなかで使われいます。

今回はあらためて、そのデザイン思考に基づくサービスデザインのプロセスをいくつかのサービスデザイン会社の例を見ながら紹介していくことにします。

前回の「サービスブループリントを用いたWebユーザビリティ評価」では、サービスを体験する利用者とタッチポイントの間でのインタラクションをモデル化するツールとして、サービスブループリントという手法を紹介しました。

サービスデザイン&エクスペリエンスデザインの分野で同様の目的で使われるツールにもう1つ、エクスペリエンスジャーニーマップ(またはカスタマージャーニーマップ)と呼ばれる手法があるので、今日はそのツールについて紹介してみようと思います。

Webサイトのユーザビリティを評価する手法として知られるものの1つに、ヒューリスティック評価法があります。1990年にJakob NielsenとRolf Molichが開発したユーザビリティの問題点を指摘する手法で、ユーザーインターフェイスの設計に関する専門家が経験則と直感、洞察を駆使して、デザイン上のユーザビリティに関わる問題点を発見する方法です。日本でも2000年を過ぎた頃より様々なシステムのユーザーインターフェイスやWebサイトのユーザビリティの評価のために用いられてきました。

比較的、短期間、低コストで効率的にUIの問題点を抽出するのに有効であると言われ、重宝されるヒューリスティック評価法ですが、弱点もあります。というのも、ヒューリスティック評価法は、ある程度網羅的にデザイン上の問題点をピックアップすることができる代わりに、問題の重要度をユーザー視点にたって決定することがむずかしいのです。そのため、デザインに関わるメンバー間で評価の結果に基づき、どこをどう改善するかを議論をする場合に、改善ポイントの優先度がつけにくいという問題が生じやすいのです。

pinterest

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今日はすこし趣向を変えて、たまたま見つけた新しいWebサービス pinterestの紹介を。

pinteresthttp://pinterest.com/

pinterest.png

興味のある写真をピンで留める

pinterestは、写真投稿が専門のソーシャルネットワークサービスです。

pin + interest

ピン + 興味のあるもの

自分の好みの写真、興味のあるものの写真を、自分がカテゴリーに分けて用意したボードにピンで留めていくような操作で保存していくサービスです。

自分で好きな写真をボードに投稿できるだけでなく、tumblrのようにWebで見つけた好みの写真を自分のボードに追加することもできます。

「いまの市場では、単純に優れた製品を生み出すだけでは十分じゃない」

戦略開発コンサルティング会社Motiv StrategiesのCEO、JENEANNE RAEは、Co.Design.にそんなコラムを書いてます。

「偉大な企業は、優れた製品を生み出すだけではなく、さらにサービスを追加した形を取るのだ」と。

Great Products Are Nice. But Great Businesses Add Services To Them | Co.Design

先日の「発想のための「レシピ」や「方程式」は存在しない。」という記事で紹介した、MITメディアラボ副所長の石井裕教授のインタビューが掲載されている『COURRiER Japon 2012年01月号』には、「デザイン思考」で知られるIDEOのCEOであるティム・ブラウンのインタビューも掲載されています。

インタビューの中でティム・ブラウンは、イノベーション手法としてのデザイン思考を以下の4つの段階で紹介しています。

  1. 「どんな問題に取り組むのか?」というデザインの概要をまとめる
  2. 世界を新しい視点から観察する
  3. 洞察を発展させるための体系的なプロセスを見つける
  4. プロトタイピングでアイデアを視覚化する

この4つの段階の「2.世界を新しい視点から観察する」は「Webサービスとペルソナ」の前編中編で紹介したプロセスに相当するもので、「3.洞察を発展させるための体系的なプロセスを見つける」は昨日の後編で紹介したユーザーとプロセスのモデル化に相当します。具体的に、どんな手法を用いていて「観察」を行なうか、「プロセスの体系化」をするかは、様々な手法がありますし、状況に応じて適切な手法を選べばよいと思いますが、イノベーションを生むデザイン思考のアプローチとしてベースとなるプロセスは共通だと思います。

前編中編と連載してきた「Webサービスとペルソナ」という記事も今回で最終回となります。

前編では、ターゲットユーザーについての理解を深めるために行なうエスノグラフィー調査について、中編では調査結果をもとにユーザーの行動分析を行なう手法としてのワークモデル分析KJ法を取り上げ、ユーザーモデルであるペルソナを作成する準備段階での作業について紹介してきました。

今回は、いよいよ行動分析によって発見されたユーザー傾向を元に作成するペルソナと、そのペルソナの期待に応えるためのソリューションを考えるためのシナリオ法を取り上げてみようと思います。

利用者ー道具ー目的の関係として、ユーザーをモデル化する

まず、何故ユーザーモデルであるペルソナを描くのかという点をあらためて整理してみましょう。

当たり前のことですが、ペルソナはWebサービスを作る上での目的ではなく手段です。あくまでWebサービスをどうデザインすればよいかを考えるためにユーザーをモデル化するのであって、その目的とは無関係なモデル化を行ってもあまり意味はありません。

では、どうすれば「Webサービスをどうデザインするか?」を考えるという目的に応じた形で、ユーザーのモデル化ができるのでしょうか。それにはユーザーを単独で捉えるのではなく、以下の図のように「利用者」「道具(Webサービス)」「目的」の関係性としてユーザーを捉えることが必要です。

ターゲットとなるユーザーがサービスを利用して「何ができる」と期待するのか、利用過程での体験面で「どうできる」ことを望ましく感じるか、逆にどんな体験を不満に感じるかといったことを考えられるようにするのがペルソナというユーザーモデルです。それを考えるために必要なユーザー情報を行動分析で得られたユーザー傾向を元にまとめていった結果がペルソナとなるのです。

クーリエ・ジャポン1月号の特集は「未来はこうして創られる」だそうですが、そこに掲載されているMITメディアラボの石井裕教授のインタビューの内容がWebでも読めます。

MITメディアラボ石井裕副所長インタビュー(前編): クーリエ・ジャポンの現場から

このインタビューのなかで石井教授は「発想において「レシピ」や「方程式」のようなものは存在しません」と言っています。「タンジブル・ビット」という従来のGUIに対するイノベーティブなUIの概念を創造した石井教授が、新しいアイデアを生み出すためにはどうするか?という話をしているのですが、いくつか興味深い点があったので、すこしここで取り上げてみようと思います。

明けましておめでとうございます。

弊社コプロシステムも本日から2012年の通常営業を開始させていただきました。今年はこれまで以上にユーザーインターフェイスやWebのデザインを中心にユーザー体験デザインの分野でのサービス提供に力を入れていく所存です。また、新たにサービス分野でのユーザー体験デザインに関するコンサルティングサービスに関しても提供できるよう準備を進めていこうと考えております。

昨年中お世話になった方々も、まだお世話になっていない方々も、本年もコプロシステムと当ブログ「市場のお手入れ」をよろしくお願い申し上げます。

さて、挨拶はひとまずここまでとさせていただいて、今回は昨年末に書いた「Webサービスとペルソナ(前編)」の続きです。

前回は、Webサービスを企画・設計する際に用いるユーザーモデルとしてのペルソナの必要性は、サービス提供者だったり作り手だったりといった自分たちの立場から偏った見方をしてしまうがゆえに見過ごしてしまう、ユーザーの潜在的要求に気付くことにあることを、あらためて指摘するとともに、エスノグラフィーのような現場での観察調査での注意点にもすこし触れておきました。今回は、そうしたエスノグラフィー調査での観察結果をどのように分析すれば、自分たちの偏った見方では見過ごしがちなユーザーの潜在的な欲求に気付くことができるか?を中心に書いてみようと思います。

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