さて、前回の「ISO13407:インタラクティブシステムのための人間中心設計プロセス」では、あらためてユーザビリティ(使える/使いにくくない)の高い製品/システムをデザインするために用いられる標準的なデザインプロセスとしての人間中心設計プロセスについて紹介しました。
そのデザインプロセスは、次の5つの段階からなっています。
- 人間中心設計の必要性の特定
- 利用の状況の把握と明示
- ユーザーと組織の要求事項の明示
- 設計による解決案の作成
- 要求事項に対する設計の評価
この各段階のそれぞれの目的と、その目的を達成するために用いる手法をまとめると、次の図のようになります。

人間中心設計の手法の応用
前回も紹介したとおり、このデザインプロセスはもともと、コンピュータが内蔵された製品/システムのユーザビリティの向上のためにまとめられたものですが、今ではそれ以外の分野の製品/サービスのデザインにも応用されています。
ターゲットユーザーをモデル化する手法であるペルソナは、さまざまな分野の商品開発のための企画やマーケティングコミュニケーションの企画のためのターゲットとなる人びとの生活行動や価値観を明示するための手法として活用されています。
また、アメリカ・パロアルトの拠点を置く世界的に有名なデザインコンサルティングファームIDEOでは、エスノグラフィのような行動観察やストーリーボード、プロトタイピングなどの人間中心設計の手法を用いて、数々のイノベーティブな商品/サービスを生みだしています。
まずは標準的なプロセスを体験することから
これらの手法の1つ1つは必ずしも目新しい手法ではありませんが、与えられた課題に対して適切な手法を組み合わせてデザインプロセスを設計することで、なんとなく個々人の勘や経験値、あるいは数値的データだけを元にした分析では得られない新しい発想やそれを実現するための具体的なアイデアを創出することができます。
どういう課題にどのように手法を組み合わせるのが適切かは、経験に依るところも大きいので、単純に上の図の標準的なプロセスに従えばよいというわけではありません。しかし、標準を知ることでこそ、応用もできるようになるというものです。
自社製品やサービスの開発プロセスに、人間中心設計の導入を検討されている方は一度はぜひ標準的なプロセスを体験してみることをおすすめします。擬似的な体験という形では、弊社でも「人間中心のデザイン体験ワークショップ」を用意しておりますので、ぜひご活用ください。